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鏡の法則

2006
「鏡の法則」代第二回目

しかし、昨日の出来事(近所の奥さんから聞いた話)があって、A子はすっかり落ち込み、わらをもすがるような気持ちになっていた。
「こんな辛い思いをするのはイヤだ。誰でもいいから、助けてほしい。」
そう思ったときに、B氏のことを思い出したのだ。
幸い名刺はすぐに見つかった。
息子が学校に行って1時間くらい経ったころ、意を決してB氏に電話をかけた。
その時A子は、その日に起きる驚くべき出来事を、想像だにしていなかった。
受付の女性が出て、B氏に取り次いでくれた。
A子は自分の名前を告げたものの、電話に出てきたB氏の声がとても明るかったので、「こんな悩み事を相談してもいいのか?」という気持ちになった。
次の言葉がなかなか見つからなかったのだが、B氏のほうから声をかけてきてくれた。
「もしかして□□君の奥さんですか?」
「はい、そうなんです。」
「あー、そうでしたか。はじめまして。」  「あのー、主人から何か聞かれてますか?」
「はい。ご主人から少し聞きました。息子さんのことで悩まれてるとか。」
「相談に乗っていただいていいのでしょうか?」
「今1時間くらいなら時間がありますので、よかったら、この電話で話を聞かせてください。」
A子は、自分の息子がいじめられたり、仲間はずれにされていることを簡単に話した。
そして、前日にあった出来事も。
ひととおり聞いて、B氏は口を開いた。
「それは辛い思いをされてますね。親としては、こんな辛いことはないですよね。」
その一言を聞いて、A子の目から涙があふれてきた。
A子が泣き始めたのに気づいたB氏は、A子が落ち着くのを待って続けた。
「奥さん、もしあなたが、本気でこのことを解決なさりたいなら、それは、おそらく、
難しいことじゃありませんよ。」
A子は、「難しいことじゃない」という言葉が信じられなかった。
自分が何年も悩んで解決できないことだったからだ。
だけど、B氏の言葉が本当であってほしいと願う気持ちもあった。
「もし解決できるなら、何だってやります。私は本気です。だけど、何をやれば解決するんですか?」
B氏「では、それを探りましょう。まず、はっきりしていることは、あなたが、誰か
身近な人を責めているということです。」
A子「えっ?どういうことですか?」
B氏「話が飛躍しすぎてますよね。まず理論的なことをじっくり説明してから話せばいいんでしょうが、それをすると何時間もかかるし、私もそこまでは時間がないのです。
なので、結論から話します。理論的には根拠のある話なんで、後で、参考になる心理学の本など教えます。
結論から言います。
あなたが大事なお子さんを人から責められて悩んでいるということは、あなたが、誰か感謝すべき人に感謝せずに、その人を責めて生きているからなんです。」
A子「子どもがいじめられるということと、私の個人的なことが、なぜ関係があるんですか?
何か宗教じみた話に聞こえます。」
(注:このあたりの理論的・心理学的な背景は、私のブログの他の記事をご参照下さい。
このレポートの最後のページに情報を載せておきます。)
B氏「そう思われるのも、無理もないです。われわれは学校教育で、目に見えるものを対象にした物質科学ばかりを教えられて育ちましたからね。
今、私が話していることは、心理学ではずいぶん前に発見された法則なんです。
昔から宗教で言われてきたことと同じようなものだと思ってもらったらわかりやすいと思います。私自身は何の宗教にも入っていませんけどね。」
P1010026.jpg


A子「その心理学の話を教えてください。」
B氏「現実に起きる出来事は、一つの『結果』です。『結果』には必ず『原因』があるのです。
つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうといいと思います。
例えば、鏡を見ることで、『あっ、髪型がくずれている!』とか『あれ?今日は私、顔色が悪いな』って気づくことがありますよね。
鏡がないと、自分の姿に気づくことができないですよね。
ですから、人生を鏡だと考えてみて下さい。
人生という鏡のおかげで、私たちは自分の姿に気づき、自分を変えるきっかけを得ることができるのです。
人生は、どこまでも自分を成長させていけるようにできているのです。」
A子「私の悩みは、私の何が映し出されているのですか?」
B氏「あなたに起きている結果は、『自分の大切なお子さんが、人から責められて困っている』ということです。
考えられる原因は、あなたが『大切にすべき人を、責めてしまっている』ということです。
感謝すべき人、それも身近な人を、あなた自身が責めているのではないですか?
一番身近な人といえば、ご主人に対してはどうですか?」
A子「主人には感謝しています。トラックの運転手として働いてくれているおかげで、
家族が食べていけてるのですから。」
B氏「それは何よりです。では、ご主人を大切にしておられますか?尊敬しておられますか?」
A子は、「尊敬」という言葉を聞いたときに、ギクッとした。
A子は、日ごろから夫のことを、どこか軽蔑しているところがあったからだ。
A子から見て、楽観的な性格の夫は、「思慮の浅い人」に見えた。
また、「教養のない人」にも見えた。
たしかに、A子は四年制の大学を卒業しているが、夫は高卒である。
また、それだけではなく、夫は言葉ががさつで、本も週刊誌くらいしか読まない。
読書が趣味のA子としては、息子に、「夫のようになってほしくない」という思いがあったのだ。
A子は、そのこともB氏に話した。
B氏「『人間の価値は教養や知識や思慮深さで決まる』と思っておられますか?」
A子「いえ、決してそんなふうには思いません。人それぞれ強みや持ち味があると思います」
B氏「では、なぜご主人に対して、『教養がない』ことを理由に軽蔑してしまうんでしょうね。」
A子「うーーーん。私の中に矛盾がありますね。」
B氏「ご主人との関係は、どうなんですか?」
A子「主人の言動には、よく腹が立ちます。喧嘩になることもあります。」
B氏「息子さんの件で、ご主人とはどうですか?」
A子「息子がいじめられていることは、いつもグチっぽく主人に言っています。ただ、
主人の意見やアドバイスは受け入れられないので、主人にちゃんと相談したことはありません。おそらく、私にとって主人は、一番受け入れられないタイプなんだと思います。」
B氏「なるほど。もう一つ根本的な原因がありそうですね。ご主人を受け入れるよりも前に、
そっちを解決する必要があります。」
A子「根本的な原因ですか?」
B氏「はい、あなたがご主人を受け入れることができない根本的な原因を探る必要があります。ちょっと伺いますが、ご自分のお父様に感謝しておられますか?」
A子「えっ?父ですか?そりゃもちろん感謝してますが・・・」

B氏「お父様に対して『許せない』という思いを、心のどこかに持っていませんか?」
A子は、この「許せない」という言葉にひっかかった。
たしかに自分は父を許していないかもしれない、そう思った。
親として感謝しているつもりであったが、父のことは好きになれなかった。
結婚して以降も、毎年の盆・正月は、実家に顔を見せに家族で帰っている。
しかし、父とは、ほとんど挨拶ていどの会話しかしていない。
思えば、高校生のころから、父とは他人行儀な付き合いしかしてこなかった。
A子「父を許してないと思います。だけど、父を許すことはできないと思います。」
B氏「そうなんですね。じゃあ、ここまでにしますか?お役に立てなかったとしたら、
申し訳ありません。それとも、何かやってみますか?」
A子「私の悩みの原因が、本当に父や主人に関係しているんでしょうか?」
B氏「それは、やってみたらわかると思いますよ。」
A子「わかりました。何をやったらよいか教えてください。」
B氏「では、今から教えることをまずやってみてください。お父様に対する『許せない』
という思いを存分に紙に書きなぐって下さい。
怒りをぶつけるような文書で。
『バカヤロー』とか『コノヤロー』とか『大嫌い!』とか、そんな言葉もOKです。
具体的な出来事を思い出したら、その出来事も書いて、『その時、私はこんな気持ちだったんだ』ってことも書いてみてください。
恨みつらみをすべて文章にして、容赦なく紙にぶつけてください。
気がすむまでやることです。充分に気がすんだら、また電話下さい。
携帯の番号も教えておきます。」
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